2023.11.8
kintoneを導入したきっかけ
福祉の仕事で一番大切な、利用者さんと関わる時間を捻出するために
福祉の仕事に限らずですが、人と関わる仕事は、その時間が一番大切だと思います。ですが、事務処理に時間を取られすぎると、利用者さんと関わる時間が減ってしまう。福祉施設で人と関わる時間が減ってしまっていいのか、とずっと疑問に思っていました。
当初は、利用者さんの情報をエクセルで管理していて、その過程でいろんな人の仕事が点在していたので1個にまとめたいよねという話になり、エクセルを改造してみたんです。それはそれで悪くなかったのですが、いろんな書式を作ってたくさんシートができて、エクセルだけで1.4メガバイトの容量になってしまったりして。ある日「これは自分が管理できなくなった時、誰がするんだろう。」とふと考えました。職員も増えて、利用者さんも増えている状況だったのでエクセルでは限界があり、やっぱりみんなが共通して情報管理できるシステムが必要だろうと考えました。
最初からシステムがあれば良かったのですが、法人の事業形態がそもそも複雑だったので、システムをカスタムしないとダメで、カスタムすると費用がかさみ、システム導入費で700万円という見積もりがきたりして、それが理由でずっとエクセルになっていました。
最近はITも進化していて、新しいシステムも出てきている状態だったので、もう一回探している時に、別の会社さんから「御社だったらkintoneがいいんじゃないですか?」と教えてもらって、下調べをしてみました。そんな時に自分が本当に退職する状況になり、その時に次の担当者にkintoneの話をしました。二人の間でいいねぇという話になり、理事長に話して了承を得ることが出来ました。
いろんなkintoneの支援会社を探しましたが「福岡 kintone」で検索して、出てきたのがサクシーさんでした。
現在のkintoneアプリの活用方法、導入後の効果
情報を一括管理、小さな”時短”がたくさん生まれ、大幅に作業時間削減
今までのエクセル管理では[特記]という大切な情報が、シートを開きなおさないと確認できなかったのですが、kintoneでは同時に確認可能になったことがすごく良かったと思います。
利用者さんの数が60〜70名いる中で、支援員が情報を記入しても、サービス管理責任者が逐一確認することは現実的に難しかった部分も、kintoneでは大事な情報を漏らさず確認ができ、詳細が知りたいことは支援員にその都度聞けるようになったことは大きいです。
両者間でのコミュニケーションも円滑になり、すごくいいツールだなと思っています。
[特記]の数を集計してみて、季節ごとの体調変化などの流れを数値化することもできました。
今までは支援する側の、長い経験則の中から「 ◯月頃になるとみんな体調崩しがちになるよね」といった感覚的な集計があったのですが、それらが数値として表すことが可能になりました。
グラフ:利用者さんの特記数
また、利用者さんの携帯番号・自宅番号・住所が管理できるようになったことはとても良かったです。
出先でもkintoneアプリがスマホに入っているので、携帯にかけて繋がらない時はすぐ自宅番号を調べて連絡でき、電話番号を一旦事務所に確認する手間が省けました。
住所に関しては、送迎する利用者さんが60名程いらっしゃるのですが、担当以外が送迎する場合、「住所はkintone見たら分かるよ」とだけ伝えれば、Googleマップと連携していただいたので、ナビを開いて目的地に設定すればそれだけで済むので、引き継ぎも簡略化されました。これはすごく便利でした。
マスタ 利用者アプリ − 住所のGoogleマップ連携
あとは過去の振り返りがしやすくなったこともあります。
利用者さんの生活の計画を立てて、3ヶ月後、半年後と振り返って評価をするんですが、エクセルだとシートを替えてずっと読んでいかないといけなかったり、印刷してマーカーで印をつけていたりしたアナログ的な作業も、kintoneアプリでは過去の情報を簡単に遡ることができ、特記事項なども一目で分かるので、利用者さんの成長も分かり、評価もしやすくなりました。
現場の職員からも、感謝の声があがっています。業務の手間が省け、情報が可視化され、記録が抜けているところは、書いておこうという助け合いも生まれ、担当者しか分からないところは「書いておいてくださいね」と一言かけることができ、記録漏れを防ぐことにも繋がります。これは、運営的にも経営的にもとても良かった点です。
一人の利用者さんが何曜日に施設を利用して給食は食べるのか食べないのか、食後の内服薬の状況など個人の情報をどこの福祉施設でも管理していると思うんですけど、今回アプリでそれを一旦登録してしまえば、そこから拾えるので、とても便利になりました。
利用者さんの「入所」や「退所」、さらには「情報の変更」時には、これまでは関連するエクセルデータを一つ一つ書き換えていましたが、利用者マスタの書き換えをするだけで全て反映されるので、それも小さな時短となりました。
利用者さんが先月休んだ理由なども備考欄に記載しておくことで、共有ができます。そこから支援記録に飛ぶと、休んだ前後に何があったかも分かります。体調だけでなく気持ちの面なども分かるので、そこが可視化されたことは支援する側にとってもすごくありがたいことです。
サクシーさんが今後福祉施設などのアプリ開発をされる際は今回うちで作成したアプリを見本にしてもらってもいいくらいです(笑)
同業施設は、この利用者マスタと支援記録アプリの連携を導入すると、管理や情報共有の業務においても、利用者さんとのコミュニケーションにおいても、本当に助かると思います。
支援記録アプリ
SACCSYの関わり方
バックグランドを汲み取ってくれることの大切さ
福岡の会社で何社かに決めかねていましたが、サクシーさんに決めたきっかけは、レスポンスがとても速く、営業の方がとても親身になって下さって信頼できると思ったからです。代表の行武さんがご挨拶に来てくださった時も2時間近くお話をして(笑)
IT導入補助金の相談も気軽にできました。
導入後も口頭だったり、文章だったりで質問したことをすごく汲み取っていただいて、改善の提案をしてくれるので、担当者間で「ありがたいね。すごいね。」といつも話しています。
今後の展望
施設全体でkintoneを活用し、当初の目標を達成したい
給与ソフトなど外すことができないソフトはありますが、そのソフトに入力する手前までの作業量が膨大なのと、まだまだアナログ作業なので、そこをサクシーさんの協力のもと、kintoneを使って簡略化することができるんじゃないかなと思っています。
今後は事務の方も取り組み、施設全体を通じて活用していきたいです。
kintoneを導入したきっかけは「作業を簡略化して利用者さんと関わる時間を増やす」ことでした。
この目標に向けて、さらに努力を続けていきたいと考えています。それは職員のやり甲斐にもなるし、支援を受ける方も幸せな気持ちになると思います。
他の事業所も同じような悩みを抱えてらっしゃるところはたくさんあると思うので、もっともっと広がって欲しいなと思いますね。